2016/01/26

2016年1月26日

ロンドンに住んでいた時にバイトして買ったマーチンの8ホールのブーツを売った。たいした額にはならなかったが、大事にしすぎてあまり履くこともなかったので後悔はない。ただ、自分でもよくわからない何かをひとつ清算したような気分ではある。17歳だった。泣きながら踊っていた。ダンスが嫌いなの?と聞かれて、そうだとはっきり答えた日のことは今でも覚えている。契約とは不思議なもので、来年の夏までは踊りを続けていなければならないらしい。明日自分の身体がどんな姿形をしているかもわからないのに、そんな他人の「踊り」なんていう不確定なものと契りを結ぶなんて、と思った。でも同時に、そういうことが自分の踊りへの自信に繋がるし、ダンサーとしてのプライドにも拍車をかける。昨日チラシを配っている最中、見知らぬ女の人に差し出した手をぎゅっと握られた。もっと長く感じたけれど実際には5秒くらいか、黙って強く握られたまま放してくれなくて、驚いて声が出せなかった。人通りは結構あったけれどその流れを止めることなく、私の前を通り過ぎるまでの間の出来事だった。あまりにも自然すぎた。最後の1秒あたりで、このまま殺されるかもとさえ思った。逆ギレしたおばあちゃんにチラシを顔面に投げつけられたり、酔っ払いに肩を抱かれたり、おじさんに握手を求められたりといったことはこれまであったけれど、それらは全て流れやリズムに不自然な行為で、だからこそ反応できた。自然であることが一番怖い。

2016/01/12

2016年1月12日

食べるという行為は身体そのものをあたためるのだなと、こんな夜更けに冷蔵庫の残り物の豚肉と白菜をごま油で炒めたものをフライパンから直接食べながら思う。鷹の爪も入れた。近所の魚屋では4カン1パックのお寿司が150円で売られていて、お昼時にたまに買いに行く。そこで働く男の人たちはいつも私を「オネーチャン」と呼ぶ。オネーチャン、可愛いから100円でいいよと何度かまけてもらったこともあって、そう呼ばれるのはなかなか気分がいい。今日も店に行くと「らっしゃい!オネーチャン、なんにする」といかにも魚屋な風貌のおっちゃんに声をかけられ、ブリのにぎりと、赤身の魚とシソの巻き寿司を選んだ。お金を払ってさあ帰ろうとした矢先に事件は起こる。私の後ろに並んでいた白髪頭で腰の曲がったおばあちゃんに向かって、魚屋のおっちゃんは「オネーチャン、なんにする」と言ったのだ。数分前に私に言ったそれと全く同じ調子で。とぼとぼと、お腹をすかせながら帰った。

2016/01/08

【出演情報】株式会社ABC TVCM出演中

2016年1月1日より、東海地方で放映中の株式会社ABC TVCM『ココロ、踊ってる?マッサージ編』に出演中です。


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