2017/04/03

2017年4月3日

派遣のアルバイト先で、時たまスーツを着用する仕事がある。白のワイシャツに黒のスカートスーツ、ヒール低めのパンプス。就活生にしか見えないねと決まって言われる。私はスーツを着ると少しだけ大胆になる。もともと1人で外食するのは苦手ではないが、スーツを着ているときは普段なんとなく入りづらいようなご飯屋さんにも堂々と入ることができる。それはスーツ姿の自分に自信がついたわけではなくて、その他大勢のちっぽけな1人になれたような感じがするからではないかと思う。私はどんな店にも難なく入れる最強人種はサラリーマンだと勝手に思っているので、少しだけ彼らに近づけた気がしてうれしい。1人だけどスーツを着ているから、大盛りも、ご飯のお代わりも、ビールも頼むことができる。スーツを着たおじさんはどこにいてもおじさんで、お店の人も周りの客も、おばさんや若い女性と比べるとその人を個人として見ることがわりかし少ないのではないか。春ですねー。ちゃんとした卒業・就職の流れに乗らなかったので、学生・社会人の区切りみたいなものの実感がないまま生きてきていますが、自分の中で仕切りを置くとすればそれは20歳の春です。学びの期間を終えて、さぁこれからどうしようかというときに、なんとなくイケてる感じがしたプロデューサーさんにワークショップのスカラシップをもらい、せっかくだし参加してみるかととりあえず神戸の家はそのままにして京都へ出向いたのが始まりでした。結局あまりおもしろくなくて、出席だけはなんとかしてレポートも出さなかったのですが(不義理をお詫びします)、そこで出会った人に舞台のお仕事をもらい、そこからまた新しい仕事に繋がり、と続いたことで関西に残ることになったのでした。ダンスのお稽古をしていると、自分は社会に対してとても遠い場所にいるような感覚に陥ることがあります。体重を左カカトに70パーセント、右つま先に30パーセント・・・なんてことをやっていると、世界でたった1人ぽっちになってしまったんじゃないかと錯覚するくらいです。ド平日の真昼間にそういうことをやっているもんで、余計に社会との繋がりが切れてしまったような気がする。今まではあまりそういう風に感じたことはなかったのだけど、最近よくそんなことを考えてしまうのは歳をとったからでしょうか。いまも、入社式だろうか、スーツ姿の若者が歩いていくのを窓越しに見ながらコーヒー片手にこのブログを書いています。なんとなくの戒めのために、朝はティッシュ配りのアルバイトを2時間やりました。